相続登記は自分でできる?手順・必要書類・費用と、つまずきやすいところ

親から実家を相続し、名義を変える手続き(相続登記)が必要になったものの、司法書士に頼むべきか、自分でもできるのかと迷っている方もいらっしゃると思います。

先にお伝えすると、相続登記は、ご自身で申請することもできる手続きです。法務省はご自身で申請する方に向けた案内書を作っています。※1 法務局でも、申請書の書き方などを案内する予約制の窓口を用意しています。※2

一方で、集める書類の量や手間は、ご家族の状況によって大きく変わります。このページでは手続きの流れ、必要な書類、かかる費用、ご自身で進めるときにつまずきやすいところを順に整理しました。

相続登記の流れは5つのステップ

ここでは、相続人どうしの話し合い(遺産分割協議)で、不動産を誰が引き継ぐかを決める場合を例にします。法務省の案内では次の5つのステップで進みます。※1

  1. 戸籍の証明書を集める
  2. 遺産分割協議をして、協議書を作る
  3. 登記申請書を作る
  4. 法務局に申請書を出す
  5. 登記が完了し、書類を受け取る

遺言書がある場合や、相続人が一人だけの場合などは、必要な書類が変わります。

戸籍の証明書の請求書(写真はイメージです)

ステップ1:戸籍の証明書を集める

亡くなった方の出生から死亡までの戸籍の証明書を集めます。亡くなったことと、ほかに相続人がいないことを示すためです。結婚や転籍で戸籍が移っている場合は、新しい戸籍から古い戸籍へと順にさかのぼります。ご家族の事情によっては、たくさんの戸籍をさかのぼることもあります。※1

戸籍の証明書は本籍のある市区町村に請求します。請求の方法や手数料は、市区町村ごとに案内されています。※1

2024年3月1日からは、ご本人・配偶者・父母や祖父母・子や孫の戸籍の証明書を、本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて請求できるようになりました(広域交付)。ただし、窓口に出向く必要があり、郵送や代理人による請求はできません。兄弟姉妹の戸籍や、コンピュータ化されていない一部の戸籍は対象外です。※3

法務局の「法定相続情報証明制度」では、集めた戸籍の束と、相続関係を一覧にした図を提出すると、法務局がその図の写しを無料で交付します。相続登記では戸籍の束の代わりにこの写しを使えます。※4

ステップ2:遺産分割協議をして、協議書を作る

相続人全員で、誰が不動産を引き継ぐかを話し合い、遺産分割協議書を作ります。協議書には相続人全員が実印を押します。印鑑証明書は登記を申請する相続人を除いた全員の分を、1通ずつ添えます。相続登記に使う印鑑証明書には、「作成後3か月以内」といった制約はありません。※1

なお、法務局では遺産の分け方や協議書の作り方の相談には応じていません。※1 話し合いがまとまらない場合、相続人の間に入って交渉することは弁護士の業務で、司法書士は交渉の代理を行うことができません。当事務所では提携する弁護士をご紹介しています。

ステップ3:登記申請書を作る

登記申請書は法務局のホームページから様式と記載例をダウンロードして作れます。※1 添付する書類は主に次のとおりです。※1

書類誰のものか
出生から死亡までの戸籍の証明書亡くなった方
戸籍の証明書遺産分割協議をした相続人全員
住民票の除票や戸籍の附票など亡くなった方(登記上の住所と本籍が違う場合)
遺産分割協議書相続人全員が実印を押したもの
印鑑証明書登記を申請する相続人を除いた、協議をした相続人全員
住民票の写し不動産を引き継ぐ方

申請書には登録免許税という税金の額も書きます。相続による名義変更の税率は、不動産の価額の1000分の4(0.4%)です。※5 不動産の価額は毎年届く固定資産税の課税明細書の「価格」(「評価額」と書かれていることもあります)を使います。「課税標準額」ではないので注意が必要です。※1

たとえば、価格が2,000万円の土地と建物なら、登録免許税は8万円です。

また、価額が100万円以下の土地は、令和9年(2027年)3月31日までの申請であれば、登録免許税がかからない免税措置があります。ただし、申請書に免税の根拠となる法律の条項を書かないと、免税は受けられません。※6

ステップ4:法務局に申請書を出す

申請書は不動産の所在地を管轄する法務局に出します。出し方は窓口に持参する、郵送する、オンラインで申請する、の3つです。※1

オンラインで申請するには、マイナンバーカードの電子証明書、ICカードリーダライタ、法務省の申請用のソフトなどの準備が必要です。戸籍などの書類は電子データでは出せないため、後日、法務局に郵送するか持参します。※7

申請したあと、法務局の審査で、申請内容の訂正(補正)や追加の書類を求められることがあります。※2

ステップ5:登記が完了し、書類を受け取る

登記が終わると、法務局から「登記完了証」と「登記識別情報通知書」が交付されます。登記識別情報は12桁の符号で、この不動産について次に一定の登記を申請するとき、本人であることを確かめるために使います。再発行はできないので、大切に保管してください。※1

ご自身で進める場合にかかる費用

ご自身で申請する場合も、次のような実費がかかります。

費用内容
登録免許税不動産の価額の0.4%(価額100万円以下の土地は免税になる場合あり)※5※6
戸籍の証明書の手数料例: 新宿区では、戸籍謄本が1通450円、除籍謄本・改製原戸籍謄本が1通750円 ※8
住民票・印鑑証明書などの手数料市区町村ごとの手数料
郵送の費用戸籍の請求や申請を郵送でする場合

必要な戸籍の通数はご家族の状況によって変わります。司法書士に依頼する場合は、これらの実費に加えて司法書士の報酬がかかります。当事務所の報酬は料金のご案内のページに載せています。

ご自身で進めるときに、つまずきやすいところ

手続きの流れは同じでも、次のような場合は、集める書類や確認することが増えます。

戸籍が多く、読み解くのに時間がかかる
結婚や転籍が多かったり、古い手書きの戸籍が含まれていたりすると、どこまでさかのぼればよいかの判断に時間がかかります。

相続人が多い、連絡が取りにくい人がいる
遺産分割協議書には相続人全員の実印が必要で、印鑑証明書も集めるため、一人ずつ連絡を取り、書類をそろえてもらうことになります。

名義が祖父母のままになっている
名義人が亡くなったあと、相続登記をしないまま次の相続が起きていると、相続人の範囲が広がり、集める戸籍も増えます。

登記上の住所と、亡くなった方の本籍が違う
登記簿の住所が古いままの場合は、住民票の除票や戸籍の附票などで、登記上の所有者と亡くなった方が同じ人であることを示します。※1

登録免許税の計算や免税の書き方
価額の見方や免税の条項の書き方を誤ると、申請後に訂正(補正)を求められることがあります。※2

法務局の「登記手続案内」も利用できます

ご自身で申請する方は法務局の「登記手続案内」を利用できます。完全予約制で、1回20分程度です。法務局の窓口、ウェブ会議、電話のいずれかで、手続きの流れ、必要書類の集め方、申請書の書き方などを案内してもらえます。※2

ただし、担当者が申請書を作ることはなく、書類作成の代行や、遺産の分け方の相談もしていません。作成した申請書に誤りがないかは、案内の時間内で確認してもらうこともできます(正式な審査は、申請後に登記官が行います)。※2

落ち着いた和室の窓辺の写真

司法書士に相談したほうがよい場面

次のような場合は、司法書士に相談することも考えてみてください。

  • 上の「つまずきやすいところ」に当てはまる
  • 戸籍を集めたり、法務局とやり取りしたりする時間をとるのが難しい
  • 申請書や添付書類に不備がないか不安がある

なお、相続登記は2024年4月1日から義務になりました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があり、正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。※9

相続税がかかるかどうかや、その計算は、税理士の業務です。当事務所では提携する税理士をご紹介しています。

まずは状況の整理からで構いません

ご自身で進めるか、専門家に頼むかは、ご家族の状況を整理してから決めても遅くありません。

当事務所の初回のご相談は60分まで無料です。「どの書類が必要か分からない」「自分でやるか決めていない」という段階でも構いません。ご状況を伺い、手続きの全体像をご説明します。無理にご依頼をおすすめすることはありません。


参考資料・出典

※1 法務省民事局「登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編)」(2026年10月20日確認)
※2 法務局「登記申請を御自身ですることを検討されている方からよくある質問」(2026年10月20日確認)
※3 法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」(2026年10月20日確認)
※4 法務局「「法定相続情報証明制度」について」(2026年10月20日確認)
※5 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(2026年10月20日確認)
※6 法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」(2026年10月20日確認)
※7 法務局「不動産の所有者が亡くなった(相続の登記をオンライン申請したい方)」(2026年10月20日確認)
※8 新宿区「戸籍の証明書の種類・手数料」(2026年10月20日確認)
※9 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(2026年10月20日確認)